踊るサテュロスとその来日
「踊るサテュロス(The Dancing Satyr of Mazara del Vallo)」と呼ばれる彫像のお話をいたしましょう。
今回の記事はおもに『特別展「踊るサテュロス」カタログ』(読売新聞社、2005)を参考にしつつ執筆してまいります。なので情報がちょっと古いかも
またリンクをいっぱい貼りましたが、広告とごっちゃになって見づらかったらごめんなさい。心眼で見極めてください。
踊るサテュロスは1998年、イタリアはシチリア島とチュニジアはボン岬の間の海峡にて発見されたブロンズ像です。高さは143cm、重さは120kg。
2000年以上海中に沈んでいたサテュロスは破損の度合いが大きく、両腕や右足などが失われています。
見た目はこんな感じ
ぐるっと一周
一度見たら忘れられないこの躍動感。身体を大きくねじり髪を振り乱して踊っています。
背中にある穴はかつてはしっぽが嵌められていたようです。また類似ポーズのカメオから、失われた手には右にテュルソス、左にヒョウの毛皮があったのではと考えられています。
類似のカメオ、たぶんこれ
この像の制作年代はローマ期なのか?ヘレニズム期ギリシャなのか?そもそもこの像はオリジナルなのか?レプリカなのか?作者は誰か?材質などの特徴はどれも決め手に欠け、いつどこからやってきたのかまったく謎のサテュロスとなっている模様です。
しかしそんなミステリアスさもまた像の魅力を倍加しているようですね。
現在はシチリアの踊るサテュロス博物館にて展示されています。いつか行ってみたい。
そんな踊るサテュロス、なんと一度日本に来たことがあります。
ときは2005年、「愛・地球博」でおなじみの2005年日本国際博覧会のことでありました。
あまりにも脆いのでたぶん来日は最初で最後。やってきてくれたサテュロスは万博イタリア館の目玉の展示品となりました。
今もちょろっと残っている当時のサイト。サテュロスの旅見てえよ!
サテュロスは直径9mの球体の中に展示され撮影は不可だったとのこと。しかし傍に小型のレプリカが展示されていて、こちらはおさわり自由だったようです。
愛知に先んじて開催された東京国立博物館での展示を見た方のブログ、トーハクでも触れるレプリカがあったことがわかります。
https://katuk15.exblog.jp/1749516/
当時の個人ブログやサイトを見ていると「サテュロスよりも一緒に来てた全部チョコレートでできた車の方が耳目を集めてた」なんて話があったりして悲しいんですけども、目玉は目玉。会場では踊るサテュロスポストカードやピンバッジなどが売られていたようです。それぞれフリマサイトでたまに出品されていますね。
ところで愛・地球博のイタリア館に併設されていた「カフェ・トリノ」は万博終了後に名古屋のブライダル会社に買い取られて移築され、現在は結婚披露宴会場となっているとのことですが、
現在その披露宴会場としての名前は「サテュロス」なのだそうです。パノラマビューでぐりぐり見ると奥に踊るサテュロスの写真が架かっているのが見えますね。
おわり。
ちなみに東京国立博物館での展示に関しては、トーハクのサイトで「踊るサテュロス」で検索すると当時のプレスリリースや関連イベント案内が出てきてたのしいです。当時の私はサテュロスのサの字も知らなかったけど、今くらいの熱量があったら狂って通い詰めて家が破産していたかもしれない。そう思うと当時知らなくてよかった。