サテュロス、パーン、牧神、牧羊神、半獣神、ほか

サテュロスやパーンの事典のようなブログにしたいと思っています

牧羊神(ブルーノ・シュルツ)

ブルーノ・シュルツによる小説「牧羊神」をご紹介いたします。 テキストは『シュルツ全小説』(ブルーノ・シュルツ著、工藤幸雄訳、平凡社、2005)によります。「牧羊神」の原題は"Pan"。収録された短編集『肉桂色の店』は1933年に出版されました。 内容は、蝶…

ドビュッシーと牧神

フランス印象派/象徴派の作曲家クロード・アシル・ドビュッシーまわりの、牧神がらみの作品やエピソードなどの話をします。 ドビュッシーで牧神といえば当然『牧神の午後への前奏曲』(Prélude à "L'après-midi d'un faune)。ステファヌ・マラルメによる詩…

牧神(ファヌス)

アレクセイ・トルストイによる「牧神(ファヌス)」をご紹介いたします。 テキストは『現代ロシア幻想小説』(川端香男里編、白水社、1971) によります。「牧神(ファヌス)」は佐々木彰訳。 原作は1912年ごろ発表、原題はФавн(Favin)。 あらすじ 霧に包まれて…

牧神の午後 マラルメ・ドビュッシー・ニジンスキー

"L'Après-midi d'un faune"というタイトルの、一連の芸術作品があるわけです。日本語では「牧神の午後」もしくは「半獣神の午後」という名で知られています。 牧神ならなんでも揃う牧神橋道具街(?)を目指す当ブログとしては避けるわけにはいかないテーマ…

魔術師のおい(ナルニア国ものがたり6)

ナルニア国ものがたりにおけるサテュロスの類の紹介シリーズ 1巻『ライオンと魔女』はこちら 2巻『カスピアン王子のつのぶえ』はこちら 4巻『銀のいす』はこちら 5巻『馬と少年』はこちら 今回は第6巻の『魔術師のおい』(C.S.ルイス著、瀬田貞二訳、岩波書…

英雄伝(対比列伝) 後半

プルタルコスの「英雄伝(対比列伝)」の中のサテュロス関連の記述をまとめます。 前半はこちら 今回は後半。西洋古典叢書の『英雄伝』のうち5巻と6巻です。(4巻には出てこなかった) 書誌情報は以下のとおり。 ・『英雄伝 5』(城江良和訳、京都大学学術出…

魔術師の幼年時代

ヘルマン・ヘッセの「魔術師の幼年時代」をご紹介いたします。 テキストは『ヘルマン・ヘッセ全集』第9巻、日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会編・訳、臨川書店、2005)によります。 1920年代初頭に執筆されたもので、「メールヒェン」のうちの一篇として知…

馬と少年(ナルニア国ものがたり5)

ナルニア国ものがたりにおけるサテュロスの類の紹介シリーズ 1巻『ライオンと魔女』はこちら 2巻『カスピアン王子のつのぶえ』はこちら 4巻『銀のいす』はこちら 6巻『魔術師のおい』はこちら 今回は第5巻の『馬と少年』(C.S.ルイス著、瀬田貞二訳、岩波書…

銀のいす(ナルニア国ものがたり4)

ナルニア国ものがたりのサテュロスの類のご紹介シリーズ 1巻『ライオンと魔女』はこちら 2巻『カスピアン王子のつのぶえ』はこちら 5巻『馬と少年』はこちら 6巻『魔術師のおい』はこちら 今回は第4巻の『銀のいす』(C.S.ルイス著、瀬田貞二訳、岩波書店、2…

「サテュロスと火」

「サテュロスと火」というお話をご紹介いたします。 「サテュロスと火」はエドウィン・ペリーによるイソップ寓話の467番として語られているお話。(イソップ寓話のもうひとつのサテュロスの話はこちらの記事で) サテュロスが火を抱きしめてキスしようとした…

アイスキュロスの断片

『ギリシア悲劇全集10 第9回配本(全13巻・別巻1)』(逸見喜一郎・川崎義和・高橋克美訳、岩波書店、1991)は悲劇詩人アイスキュロス(前6〜5世紀)の作品のうち、不完全な形で残っている断片をまとめたものとなっています。 残ってる悲劇を読む前に断片を攻…

英雄伝(対比列伝) 前半

プルタルコスの「英雄伝(対比列伝)」のなかのサテュロス関連の記述をまとめてみようと思います。今回はひとまず前半。 参照したテキストは ・『英雄伝 1』(柳沼重剛訳、京都大学学術出版会、2007) ・『英雄伝 2』(柳沼重剛訳、京都大学学術出版会、2007) …

カスピアン王子のつのぶえ(ナルニア国ものがたり2)

ナルニア国ものがたりに出てくるサテュロスの類の紹介シリーズ 1巻『ライオンと魔女』はこちら 4巻『銀のいす』はこちら 5巻『馬と少年』はこちら 6巻『魔術師のおい』はこちら 今回は第2巻、『カスピアン王子のつのぶえ』に登場するサテュロス的な人々をご…

「人間とサテュロス」

「人間とサテュロス」というおはなしをご紹介いたします。 「人間とサテュロス」の初出はイソップ寓話。 イソップ寓話は、紀元前7〜6世紀ごろにイソップ(アイソーポス)なる人物が書いた寓話集……とされてはいるものの、実際どれが本当にイソップが作ったも…

ライオンと魔女(ナルニア国ものがたり1)

「ナルニア国ものがたり」シリーズにはサテュロス的なひとびとが登場するので、ご紹介していこうと思います。 2巻『カスピアン王子のつのぶえ』はこちら 4巻『銀のいす』はこちら 5巻『馬と少年』はこちら 6巻『魔術師のおい』はこちら 「ナルニア国ものがた…

牧神の護符

ロバート・ブロックによる短編小説「牧神の護符」(植草昌実訳)をご紹介いたします。 テキストは『予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖』(ロバート・ブロック著、井上雅彦編、伊藤典夫ほか訳、扶桑社、2014)によります。 作者ブロックは1917年生まれのアメリ…

灰色の小人たちと川の冒険

『灰色の小人たちと川の冒険』をご紹介いたします。 テキストは『<ジュニア・ライブラリー*大日本図書>灰色の小人たちと川の冒険』(‘BB’著、神鳥統夫訳、大日本図書、1995)によりました。 原題は”The Little Grey Men”、1942年刊。作者BBの本名はデニス・ワ…

牧神の戯れ(ケネス・モリス)

ケネス・モリスによる小説「牧神の戯れ」をご紹介します。 テキストは『ダフォディルの花:ケネス・モリス幻想小説集』(ケネス・モリス著、舘野浩美訳、中野善夫訳、国書刊行会、2020)によりました。 ケネス・モリスは19世紀末〜20世紀初頭のウェールズの…

ラーオ博士のサーカス

チャールズ・G・フィニーによる小説『ラーオ博士のサーカス』(C.G.フィニー著、中西秀夫訳、筑摩書房、1989)をご紹介いたします。 原著"The Circus of Dr. Lao"は1935年の作。 内容はアリゾナ州アバローニにやってきた不思議なサーカスのおはなし……おはな…

宿題

自分用メモ ここに載ってるやつはそのうち取り上げられると思っててください ・牧羊神(B.シュルツ) ・牧神の祝福(ダンセイニ) ・牧神の午後(北杜夫) ・魔術師(谷崎潤一郎) ・ヒュギーヌス

ダフニスとクロエー

ロンゴスによる小説『ダフニスとクロエー』(ロンゴス著、松平千秋訳、岩波書店、1991)をご紹介します。 小説か古典か迷うとこなのでカテゴリー両方つけとこ 原著"Δάφνις καὶ Χλόη"は紀元後2〜3世紀に成立した、4巻からなる長編小説。ギリシャ語の大衆小説…

ビリティスの歌

ピエール・ルイスによる詩集『ビリティスの歌』(ピエール・ルイス著、沓掛良彦訳、水声社、2003)をご紹介いたします。 原著"Chansons de Bilitis"は1894年発表。「"ビリティス"なる名の、サッポーと同時代(紀元前6世紀ごろ)の女性詩人による詩集をルイス…

牧神の午後(ハンス・クリストファー・ブーフ)

ハンス・クリストファー・ブーフによる小説「牧神の午後」(Nachmittag eines Fauns)をご紹介いたします。 テキストは『独逸怪奇小説集成』(前川道介訳、竹内節編、国書刊行会、2001)によりましたが、収録されている作品はだいぶなんなのかよくわからない作…

耳の聞こえぬ森の神サテュロス

ルベン・ダリオによる短編「耳の聞こえぬ森の神サテュロス」をご紹介いたします。 作者ルベン・ダリオはニカラグアの国民的詩人。「ラテンアメリカモダニズム文学の父」と呼ばれもするようです。詩人ですが散文や小説も数多く発表しています。 また意外な国…

サテュロス または 神にされた森の精

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによる戯曲「サテュロス または 神にされた森の精(Satyros, oder der vergötterte Waldteufel)」をご紹介いたします。 ゲーテは言わずと知れたドイツの大作家です。代表作は『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』で…

踊るサテュロスとその来日

「踊るサテュロス(The Dancing Satyr of Mazara del Vallo)」と呼ばれる彫像のお話をいたしましょう。 今回の記事はおもに『特別展「踊るサテュロス」カタログ』(読売新聞社、2005)を参考にしつつ執筆してまいります。なので情報がちょっと古いかも またリ…

オウィディウス『変身物語』

オウィディウスによる『変身物語』をご紹介いたします。 原著は紀元後8年の作で全15巻。「変身」という事象を軸に250もの物語が収められた、ギリシャ神話の集大成とも言うべき書物です。 何らかのギリシャ神話関連の本を読んでいて、出典に「Ovid, Met.」と…

イスタンブールの初期キリスト教会の遺跡にて、破損したパーン像が発掘

2023年6月1日イスタンブールにて、1700年ほど前に作られたとされる我らが牧神パーンの像が発掘されました。大変めでたいことです。 せっかくなのでそれを取り上げている海外ニュースを訳しておこうと思います。いつものようにグーグル翻訳に毛が生えたレベル…

オルペウス讃歌-シレノス、サテュロスとバッケー讃歌(AthanassakisとWolkowによる)

パーン讃歌に引き続き、今度はオルペウス讃歌第54番の「シレノス、サテュロスとバッケー讃歌」をざっと読みたいと思います。"The Orphic Hyms"(Apostolos N. Athanassakis and Benjamin M. Wolkow, Johns Hopkins University Press, 2013)という本が原本です…

オルペウス讃歌-パーン讃歌(AthanassakisとWolkowによる)

以前行き当たりばったりなオルペウス讃歌に関する記事を書きましたが、 satyrshouse.hatenablog.com こちらに出てきた「Apostolos Athanassakisによる新訳」を運良く入手しましたので、パーン讃歌からざっと見ていきたいと思います。 "The Orphic Hyms"(Apos…