2023-01-01から1年間の記事一覧
ハンス・クリストファー・ブーフによる小説「牧神の午後」(Nachmittag eines Fauns)をご紹介いたします。 テキストは『独逸怪奇小説集成』(前川道介訳、竹内節編、国書刊行会、2001)によりましたが、収録されている作品はだいぶなんなのかよくわからない作…
ルベン・ダリオによる短編「耳の聞こえぬ森の神サテュロス」をご紹介いたします。 作者ルベン・ダリオはニカラグアの国民的詩人。「ラテンアメリカモダニズム文学の父」と呼ばれもするようです。詩人ですが散文や小説も数多く発表しています。 また意外な国…
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによる戯曲「サテュロス または 神にされた森の精(Satyros, oder der vergötterte Waldteufel)」をご紹介いたします。 ゲーテは言わずと知れたドイツの大作家です。代表作は『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』で…
「踊るサテュロス(The Dancing Satyr of Mazara del Vallo)」と呼ばれる彫像のお話をいたしましょう。 今回の記事はおもに『特別展「踊るサテュロス」カタログ』(読売新聞社、2005)を参考にしつつ執筆してまいります。なので情報がちょっと古いかも またリ…
オウィディウスによる『変身物語』をご紹介いたします。 原著は紀元後8年の作で全15巻。「変身」という事象を軸に250もの物語が収められた、ギリシャ神話の集大成とも言うべき書物です。 何らかのギリシャ神話関連の本を読んでいて、出典に「Ovid, Met.」と…
2023年6月1日イスタンブールにて、1700年ほど前に作られたとされる我らが牧神パーンの像が発掘されました。大変めでたいことです。 せっかくなのでそれを取り上げている海外ニュースを訳しておこうと思います。いつものようにグーグル翻訳に毛が生えたレベル…
パーン讃歌に引き続き、今度はオルペウス讃歌第54番の「シレノス、サテュロスとバッケー讃歌」をざっと読みたいと思います。"The Orphic Hyms"(Apostolos N. Athanassakis and Benjamin M. Wolkow, Johns Hopkins University Press, 2013)という本が原本です…
以前行き当たりばったりなオルペウス讃歌に関する記事を書きましたが、 satyrshouse.hatenablog.com こちらに出てきた「Apostolos Athanassakisによる新訳」を運良く入手しましたので、パーン讃歌からざっと見ていきたいと思います。 "The Orphic Hyms"(Apos…
昔こうしたページを作ったことがあったんですが、散漫な読書案内という感じであんまり役に立たないように思われるので、改めて「サテュロスとパーン(パン)の違い」について書いてみようかと思います。 わたくし自身の考えは「むやみに見分けようとしなくて…
西洋古典叢書シリーズが続きますが、今回もそちらからピンダロスの『祝勝歌集/断片選 西洋古典叢書 第Ⅱ期第13回配本』(ピンダロス、内田次信訳、2001、京都大学学術出版会)をご紹介いたします。 www.kyoto-up.or.jp ピンダロスは紀元前6〜5世紀のギリシャ…
テオクリトスに続きまして、今度はウェルギリウスの『牧歌/農耕詩 西洋古典叢書 第Ⅲ期第3回配本』(ウェルギリウス、小川正廣訳、京都大学学術出版会、2004)をご紹介いたします。 今回も公式ページへのリンクをば www.kyoto-up.or.jp ウェルギリウスは紀元…
今回は自分でもいまいちわかっていない話なのでメモ程度に。 古代ギリシャには「オルペウス教(オルフェウス教)」と呼ばれる宗教があったといいます。 オルペウス教は伝説の詩人オルペウスを開祖とする宗教であり、紀元前7〜6世紀ごろから普及したとされま…
『牧歌 西洋古典叢書 第Ⅲ記第7回配本』(テオクリトス、古澤ゆう子訳、京都大学学術出版会、2004)をご紹介いたします。 でかい本屋に行けばたいがいズラっと並んでいる西洋古典叢書のうちの1冊です。新しめの本なので図書館にもあると思います。 せっかくな…
かつてiOSとAndroid向けに配信されていた無料ゲーム、Thumbspire社とBalzo社による「Song of Pan」(2015)をご紹介いたします。Thumbspire社が配信担当でBalzo社が開発担当かな? とりあえずトレーラー www.youtube.com あと開発元Balzoのページ(もうリンク…
ウィリアム・フォークナーによる短編小説「ブラック・ミュージック」をご紹介します。 テキストは『フォークナー全集10 医師マーティーノ、他』(瀧川元男 訳、冨山房、1971)によります。小説自体が発表されたのは1920年代半ばだそうです。 フォークナーと…
アポロドーロス『ギリシア神話』(高津春繁訳、岩波書店、1998)をご紹介します。 原著は1世紀から2世紀の作、岩波文庫版は初版が1953年とのことです。私が持っているのは第65刷。 ド定番なので大概の図書館にあるでしょうし本屋にも大概あるでしょう。なか…
ウンベルト・エーコによる小説『バウドリーノ』(堤康徳訳、岩波書店、2017)をご紹介いたします。原著"BAUDOLINO"は2000年刊。 作者ウンベルト・エーコはイタリアの小説家、エッセイスト、文芸評論家、哲学者、記号学者とのこと。多い。『薔薇の名前』が有…
ローズマリー・サトクリフによる小説『ほこりまみれの兄弟』(乾侑美子訳、評論社、2000)をご紹介します。 原著"Brother dusty-feet"は1952年の作です。 作者サトクリフは20世紀イギリスの歴史小説の大家。私はアーサー王伝説の再話の人として名前だけ知って…